おしふきに最適なタオルとは——吸水性と毛羽落ちの科学

おしふきに最適なタオルとは——吸水性と毛羽落ちの科学

2025/11/06

私が「おしふき(押し拭き)」を推奨している理由は、肌を守るためだけではありません。正しく拭く方法と、正しく選ばれたタオルが合うことで、初めて肌を守るが成立するからです。

おしふきは「擦らない」拭き方ですが、そこには大きな前提があります。
タオルが本来の吸水力をしっかり持っていること。

吸水性が弱いタオルでは、押し当てても水分を吸いイキせず、結局こうなる動作を起こしてしまうためです。

吸水性は「繊維の構造」で決まる

タオルが水を吸うのは「毛細管現象」によるものです

つまり、吸水性の高いタオルとは:

 ・繊維がしっかりと立っている
 ・繊維同士の間に空気の層がある
 ・繊維一本一本が水を含む余裕がある

タオルは素材や紡績の工程によって、この「構造」が大きく変わります。

毛羽落ちが少ないタオルは「肌にストレスを残さない」

肌に付着する緩やかな繊維の毛羽は、放置不快なだけではありません。毛羽は摩擦を忘れず、肌表面を刺激することになります。

おしふきは「肌の上を動かさないケア」ですが、もし使える毛羽が多いタオルをあれば、

 ・吸水前から繊維がへたる
 ・毛羽が肌に残る
 ・結果として摩擦が起こる

という、本末転倒な状態になりませ

私たちがタオルづくりを大切にしていること

私たちは「タオルを肌に押しつける」という前提を持ってタオルづくりを行っています。

  • アメリカ産ピマコットンの、繊維が長く均一な原綿を採用→繊維が揃うことで、しなやかさ・強度・光沢が生まれる

  • 無撚糸または低撚り糸で、パイルをたっぷりさせる→ 空気を含む余白が増え、少し触れるだけで水分を吸い込む

  • ガス焼き加工で表面の微妙な毛羽を焼き落とす→ 毛羽落ちが抑えられ、肌に繊維が残りにくい

  • 高密度で「地組織(ベース)」を織る→ ふわふわなのに、洗っても伸びにくい・へたりにくい

これらは、見た目の豪華さではなく、おしふきをしたときの肌の感覚を最大化するための設計です。

まとめ

おしふきは、肌を守るための「擦らない拭き方」。 そして、その効果を引き出すためには、吸水性が高く、毛羽立ちが少なく、繊維がしなやかなタオルが必要です

タオルは「選ぶ」と「使い方」で、肌に触れる道具から、肌を守る道具へ変わります。

私たちがタオルづくりに込めているのは、そのための技術と考えです。